今回使ったのは写真右側のものです。AmazonやAliExpressではいろいろな販売元が同じようなものを出していますが、中に写真左側の物もあって、この二者に分けられるようです。
ひと目で左の物は赤黒の後付け配線があり、それの無い右側の方が「本家」っぽいかなとそちらを購入したのですが、受信周波数範囲で苦労したときに左の物も購入してみました。
右のものは、裏面に「LCD_FM_RX_ENC_V2.0」と書かれています。左のものは表側に「1983-OS16」とあるのが型式表記なのかわかりません。
同サイズの基板でよく似ていますが、パタンは見比べると結構異なります。
左の物が届いてみると、初期状態で「76.0〜108.0MHz」をカバーして日本対応でした。そのままでいいのですが、逆に設定変更の手立ては見つけられません(ないのかもしれません)。
右の物は前述のように設定変更ができたので、結局そちらを使うことにしました。設定変更は、周波数帯のほかにバックライトの無操作消灯/常時点灯も切り替えられ、スケルチレベルの調整もできます。
左のものはこれらができないのに加え、液晶モジュールに何か使われていないマークもついていて、これがちらちらと表示されるのがいかにも「使いまわし」的です。そんなこともあって、このように判断しました。
左の物は配線引き出し用のランドが2.54mmピッチになっていて一般的なヘッダピンが使えるのですが、右の物は2mmピッチなのがマイナス点です。2mmピッチをピンとソケットを使ってしのいでいます。
何枚か追加購入したので、「レトロな筐体」蒐集にはまって、何台か作ってみようとしています。それにあたり、音声出力はモノラル化せずステレオのまま行くことにしました。左右間隔がとれないのでステレオ効果はほとんどないのですが、モノラル化の過程で欠落する音がある(オーディオの方々は音が痩せるとかいうのでしょうか)ことに気づいたからです。
と、近頃のdaruma工房はもっぱらこんなことばかりやっています。
USB-シリアル変換で接続しTeraTermでと試みたのですが、うまくいきません。
これまで、このラジオについてレビューや試用記事などばかりを探していたのですが、YouTubeで有用な場面に出会えました。
https://www.youtube.com/watch?v=1UcrY6wORz4
です。
起動時「HI」が表示されている間に[VOL]ロータリーエンコーダを長クリックし「C1」が表示されれば、「キャンパスバンド(76.0〜108.0MHz)」に切り替わり、同様に「C0」にすれば初期のバンド(87.0〜108.0MHz)にとトグルで切り替わるということです。あっけない解決でした。
これで、補完放送を含む国内各局が守備範囲になりました。
この件で悩んでいる方の目に留まればとここに記しておきます。
さて、ひとつ問題が残っています。
このラジオ基板はFMのみですが、海外仕様で周波数帯が87MHz〜108MHzなのです。これは購入した時点でわかっていたことですが、国内の周波数帯は違っていて、当地民放2局の補完放送は聴けるのですが他はだめです。
ジャンパピンの接続変更で済むほど甘くはありませんでした。
基板にはシリアル通信のピンが出ていて、ネットで探すと、ATコマンドで設定変更ができるようなのです。
ずいぶん昔、モデムが300bpsから1200とか2400bpsになって速い速いとパソコン通信をやっていた頃に、ヘイズATコマンドで初期設定をしたりした記憶はあるのですが、すっかり忘却の彼方です。
シリアルも当時のパソコンはD-Subコネクタで出ていたものですが、いまはUSB-シリアル変換でなんとかするしかないですね。ターミナルソフトはTeraTermが有るので、調べながらでもやってみようと思いつつ、まだ手を出していません。
目盛盤の窓には時代を感じるセルロイド(たぶん)が使われていて、かなり黄ばんで透明度が落ちていました。目の細かいコンパウンドで磨いてなんとかここまで回復しました。入手したときすでにひび割れがあったのですが、これも時代がかってよいと思えます。
液晶のバックライトは無操作数秒で消えるので、電球色のLEDを2個付けました。
電源スイッチは大きな接点をパタンと倒すシンプルて頑丈な構造の物が使われていました。これをそのまま生かしました。ラジオ基板では選局も音量も同じロータリーエンコーダが使われています。このことが採用の決め手でした。エンコーダを基板から取り外して、ワイヤを延ばしてパネル付けしました。木製の厚いパネルに短い軸でしたが、ギリギリ足りました。見た目も操作性も元のままを保っています。
ラジオ基板は窓に液晶が見える位置に取り付けました。
スピーカーは元々20cmくらいのものが付いていたようですが、今はその大きさで安価なものは見当たりません。小さなものを裸で付けるのもなんだなと、バスレフのエンクロージャーを作って廉価品ですがFostexの10cmを付けることにしました。
中華ラジオはスピーカーをなんとか鳴らす程度のパワーはもっているようでしたが、パワーアンプを1段入れることにしました。モノラル30Wのこれも中華製です。それにしても中華発のこういったものは信じられないほど安価です。
ラジオ出力はステレオなのでモノラル化するのに抵抗を入れてパラにするのではなくトランス(サンスイのST-92)を使いました。昔懐かしいサンスイの小型トランスが引き継がれているのはありがたいことです。
電源はラジオには5Vアンプには9Vが必要です。AC100Vを引き込んでDCを作ることも考えましたが、結局ACアダプターから9Vを供給することにしました。その発想の流れでアルミシールドに入っていますが、中身は三端子レギュレータです。
ネットオークションで入手したラジオは四球の回路で、銘板はついていませんでしたが昭和13年頃の物のようです。いわゆる「カテ(セ)ドラル(聖堂)形」で大きな痛みも無くきれいです。もしかすると後世に再塗装したのかもしれませんが違和感はありません。スピーカーは失われていました。
ツマミが三つ付いていて、中央は軸についた小さなゴムローラーがバリコン軸についた大径の目盛付き円盤に接して回すようになっています。左は電源スイッチで右は音量調整のVRです。これらはそのまま見た目を損なわず置き換えることができて好都合です。